カミングアウト
Coming Out (From Human Rights Campaign)
2005.04.07
カミングアウトとは、自分がGLBT(ゲイ・レズビアン・バイセクシュアル・トランスジェンダー)だと表明することです。まず告白するのはあなた自身、それができたら次は家族や友人です。多くの人が悩み、苦しみながらもカミングアウトをするのは、遅かれ早かれ、自分が何者かを隠して生きることに耐えられなくなるからです。そしてほとんどの人は、自分の中枢とも言える部分を隠したままでいるよりも、周囲にオープンにして正解だったと考えています。
「カミングアウトとは自分に正直になる、ただそれだけのことさ――ただし、周りが自分をストレートだと信じて疑わない世界でね。GLBTに批判的な人の中には、みんなの注目を集めたいだけだって言う人もいるけど、それは違う」 と言うのは、作家で、著名な小説家アン・ライスの息子でもあるクリストファー・ライスです。「『ゲイだからって、それを宣伝して回る必要がどこにある?』って言う人もいる」 そう話すクリストファー自身もゲイです。「でも率直であることと『宣伝して回る』ことは、まったくの別物だ」
GLBTが圧倒的なマイノリティであるこの社会では、ときに本来の姿で生きることが困難になります。クリストファーにとってカミングアウトの最大のハードルは、自分が人と違うことを認めたくない、という恐怖心でした。「一番大きな障害のひとつは自分自身だと気づいたんだ。カミングアウトをすればとんでもないことになる、と思い込んでいた。でも両親はきちんと受け止めてくれたよ――それに友人の多くも。そりゃいろんな反応があるのは当然で、抵抗なく受け入れてくれた人もいれば、そうでない人もいる。でもほとんどの場合は、不安に思うあまり、相手に拒絶されると勝手に決めつけていただけなんだ」
少年時代のクリストファーは、「大人になれば女性を好きになるはずだ」と思っていました。ティーンエージャーの頃は女の子とデートもしたし、いつかは結婚もするだろう、と友人たちと話していたのです。でも同時に、自分に正直に生きているゲイの人々の本を読み、さらに友人たちと話すうちに、自分が同性に惹かれるという感情について考えるようになりました。そんな彼がすべてを悟ったのは、初めて同性の恋人ができたときのことです。
「とてもしっくりきたんだ――こうなることがごく自然に思えたし、まさに言うことナシ、って感じだった」 とクリストファーは当時を振り返ります。「それに何より、ゲイだってことを何も隠す必要はないって思えるようになったのさ」
当然ながら多くの人は、カミングアウトをしようと決心するまでにかなりの時間を要します。でも勇気を出して一歩進めば、その瞬間に人生は大きく――それもたいていはいい方に――変わるのです。リンダ・ヴィラローサは大学進学を前に、自分の性指向(性的関心を感じる性別がどこに向くかということ)に確信が持てなくなりました。そのときすぐにその感情を突きつめようとしなかったのは、当時彼女は近隣の白人たちに溶け込もうと必死で、大多数が間違いだと思っていることをあえてしたくなかったからです。でも大学入学後、リンダは一歩を踏み出しました。「カミングアウトしたのは、本来の自分でいられないことに我慢できなくなったからよ」
大学卒業後、リンダは母親と連名で寄稿した『エッセンス』誌の中で、700万人の読者にカミングアウトをしました。ずばり「カミングアウト」というタイトルのこの記事は、『エッセンス』誌創刊以来、最大の反響を呼ぶことになります。後に彼女はこの雑誌の編集長となり、今では『ニューヨークタイムズ』紙に寄稿したり、“Body & Soul: The Black Women’s Guide to Physical Health and Emotional Well-Being”という本を出版したりしています。
多くのトランスジェンダーやトランスセクシュアルの人々がカミングアウトをするのも、自分本来の姿で生きるためです。「でも、ある種の人々にとっては、自分のセクシュアリティを公にするのにはいまだに危険が伴います」 と話すのは、作家であり活動家のジャミソン・グリーンです。「大切なのは、トランスの人々が適切な方法で周囲にカミングアウトをして、安心して他人と違う生き方ができることです」
「どんな環境の中でも安全に暮らせると思えること、そして当人が楽な気持ちになれることが大事なんです」 男性として暮らすトランスセクシュアルのジャミソンは言います。?「トランスだからといって、必ずカミングアウトをするべきだは限りません」 また、自分のジェンダーを周囲にどう表現すれば満足できるのか、本人が知ることも大切です。「トランスジェンダーの形は様々です。僕たちの中には、体と心のジェンダーのずれを修正して、『普通の』男性、または女性として生きたいだけだ、と思っている者もいます。その人の性指向がどうだろうと、それは問題じゃありません」
「中性的だった僕がゴツい男になっていくわけですから、気味悪がられたりバカにされたりするのは覚悟していました。でも実際は、こっちが驚くほどの支持を得たんです。それは、周囲が戸惑っていたときにも僕の気持ちは揺るがず、穏やかで、彼らの感情に理解を示したからです。しばらくは質問攻めでしたが、それにも我慢強く対応しました。だからみんなの態度も変わってきたのでしょう」
もうひとつ大事なのは、カミングアウトに年齢は関係ない、ということです。ティーンエージャーだろうと定年退職者だろうと、とにかく当人が「今だ」と感じればそれでいいのです。サポートネットワークや種々の情報は、あらゆる年齢のみなさんを対象にしています。ただ、若い頃のカミングアウトとはまた違う困難が生じることはあるかもしれません。過ぎゆく時の速さに改めて気づき、本当の自分を受け入れて幸せになりたい、という差し迫った気持ちから、中年になってカミングアウトをする人もいます。人生の前半を他人の期待に沿って生きてきたのなら、今度は自分自身の期待に沿って人生を楽しむ番です。
(翻訳・masae)
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