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折口信夫同性の恋人詠む
2005/05/30 19:13
※折口信夫(おりくち・しのぶ) 1887年大阪府出身。民俗学者・柳田国男に師事、沖縄の八重山諸島などの調査を通して、古代日本人の精神風土を分析。日本人の神の観念を説明する独自の手法は「折口学」と呼ばれる。国文学の民俗学的研究を集大成した「古代研究」(全3巻)や万葉人を描いた小説「死者の書」で知られる。
民俗学者で歌人の折口信夫(1887〜1953年)の全集未収録の短歌2首や、折口の同性の恋人・藤無染(ふじむぜん)の翻訳が掲載された同人誌を、文芸評論家の安藤礼二さんが発見した。無染は折口の自筆年譜に一度登場するだけだが、作家で詩人の富岡多惠子さんの研究で、折口に大きな影響を与えていたことが明らかになっている。今回の資料は2人の密接なつながりを示した初の物的証拠として注目されそうだ。
見つかったのは、折口と同せいしていた9歳年上の恋人で、仏教改革運動家の無染らが発行していた「仏教青年」190年1月号。全集未収録の2首を含む折口の歌5首と、キリスト教と仏教の起源を同一視する無染の翻訳が掲載されている。
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