News
梅毒感染率、同性カップルを合法とする国では減少傾向
2005/06/19 19:48
(ペンシルバニア州/フィラデルフィア) 同性間のシビル・ユニオン法を認めているヨーロッパの国々に対する研究によると、同性カップルからなる家族に関する法律が採用されて以来、梅毒感染率が著しく低下していることがわかった。
スワースモア・カレッジの経済学者、トーマス・ディー教授によるこの研究では、オランダやベルギーなどの同性結婚を認めている国と、同性間の関係を支持する法律のあるその他のヨーロッパの国々、合計 12 カ国に関して調査が行われた。
「調査の結果によると、このような同性間の関係をサポートするための法律は、危険な性行為や性感染症の社会的危険性を著しく低下させているということがわかった。 この結果のさらに重要なところは、同性結婚によって貞操観念が向上するために望ましい影響がもたらされることを示唆しているという点である。」と、ディー教授は語った。
この調査では、 1989 年から 2003 年までのデータが集められた。
ディー教授は「 National Bureau of Economic Research 」というジャーナルのなかで、梅毒感染率は平均 24 %減少したと報告しているが、淋病や HIV の広がり対する影響は極わずかなようだ。
ディー教授は広範囲における教育や社会的な事象に対し、経済学の原理を応用した研究を行っている。 同教授は、スワースモア・カレッジで教鞭をとる以外にも、学部のリサーチフェローとしてマサチューセッツ州ケンブリッジにある国立経済調査局でも活躍している。
今回の研究では、アメリカやカナダにおける梅毒感染と同性結婚の関係は調査されなかった。 アメリカで同性カップルを支持する法律をもつ州は近年増えつつあるが、現在マサチューセッツ州だけがアメリカで同性結婚を合法としている州となっている。 それに対してカナダでは、ほとんどの州において同性結婚が法律により認められている。
ディー教授によると、これらの北アメリカの地域は同性結婚が合法化されてからの年月が調査をするにはまだ浅すぎるという。
「しかし、北アメリカにおいても同じような調査結果が予想される。特に、アメリカやカナダにおける基本的な社会モラルや社会経済状況がヨーロッパ諸国と似ているので、『同性結婚』というものが類似の結果を示すと考えてもよいだろう。」と、同教授は語った。
「実際には、幾つかの点においてヨーロッパとアメリカでは異なっているため、同性結婚による影響はアメリカのほうが大きいのではないかと予想される。 例えば健康保険では、ヨーロッパのほとんどの国で結婚という形をとらなくてもパートナーにもすでに権利が認められているが、アメリカでは現在それが認められていないため、同性結婚(もしくは同性パートナー)の法的認知による影響は大きいはずである。」と、同教授は語っている。
2000 年はアメリカにおいて過去 60 年間で最も梅毒感染率が低かった年だが、それ以降梅毒は上昇傾向にある。 最も新しいデータによると、 2000 年に報告された件数は 5979 件であったのに対し、 2003 年では 7177 件にもおよんだ。
梅毒は危険な性行為により感染するため、頻繁に HIV 感染の指標としても用いられている。 |