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同性愛修正プログラム「元同性愛者キャンプ」が議論に
2005/08/02 14:11
(テネシー/アメリカ)ABCニュースによると、「元同性愛者キャンプ」と呼ばれる同性愛修正プログラムが議論の的になっている。きっかけはザックと名乗る16歳の少年のブログだった。
ザックは両親に自分がゲイであることを告白した後、キリスト教をベースとする団体「ラブインアクション」が主催する修正プログラムに入れられたとブログに書き込んだ。
ザックの6月3日のブログによると、彼は6月6日から少なくとも20日までは ”Refuge =避難 ” と呼ばれるラブインアクションが主催するキャンプにいれられるという。
さかのぼって5月30日の書き込みではそのプログラムのルールが掲載された。それによると男性は毎日ひげをそらなければならず、髪の毛が耳にかかってはならない。女性は少なくとも週に2回は脚と脇の毛の処理を義務付けられている。さらに両性とも髪の毛を染めることは許されず、染めている者は入所する前に切るか、元の色に染め直さなければならないとされている。
また、5月29日のブログでは「両親は僕に精神的な問題があり、自分たちも育て方を間違ったといった。僕は彼らにものすごく腹が立っている。彼らは神への道にはいないのに、僕にはそれを望んでいる。だから僕は涙をためてコンピュータの前に座り、ブログで親の不満を漏らす子供たちに仲間入りしたんだ。そうせずにはいられなかったんだ。」と書き込んだ。彼のブログには掲載以来何千ものコメントが寄せられている。
ザックのブログの話を聞いたクィアアクション連合というグループはキャンプの外で2週間にわたり抗議活動を行った。
ラブインアクションはメンフィス地域の数教会に支持されており、自らを「神の力により同性愛に見せられた人々を変身させる知識を信徒にあたえ、励まし、団結する世界規模のキリスト教組織」と称している。
ラブインアクションの代表ジョン・スミッド牧師は「異性間の結婚以外は神の意思に反するとするのがわれわれの信条であり、このプログラムは保護者の意思で行われ、子供たちの世話には十分注意を払っている。」と語った。 テネーシー州児童局は虐待の疑いで ラブインアクションを捜査したが、虐待を証明する証拠が不十分なため、捜査を終了した。しかし、ラブインアクションをはじめ、宗教的教義により同性愛を直そうとするセラピープログラムには議論が集中している。それらのセラピーが効果があるのかどうか、意見は様々だ。
メリッサ・フライリアはプログラムに参加している間に、自分の人生がより幸福に、満たされたものになっていったと述べている。「以前は自分が生まれついての同性愛者だと思っていたし、女性であることを恥じ、男性を嫌っていた。でも今は男性を尊敬するし、魅力を感じる」。彼女はそう続けた。
ザックの父親、ジョン・スタークはキリスト教放送ネットワークのインタビューに「ザックをここにつれてきてよかったと思う。彼が18歳になるまで私には彼に対して責任がある。私は彼があらゆる選択肢を持っていることを見せていくつもりだ」と語った。
ラブインアクションの代表スミッド牧師は人々はセクシャリティの選択肢を持っていると信じている。彼曰く、彼自身『元同性愛者』だという。
しかしながら、批評家たちはそれらのプログラムは被験者を一生続く罪悪感や自己批判、さらには自殺の危険にさらすといっている。 1996年から98年にかけてラブインアクションが主催する成人向け修正プログラムに参加したピータソン・トスカーノはその間自殺したいと思うことがあったと述べている。「地下鉄のホームにたち、自分はこんなひどい人間なのだから飛び込まなければならないと思うんだ」。彼は 17年にわたり、さまざまな修正プログラムを受けた後、同性愛者であることを公表し生きている。
アメリカ精神医学協会によると、ヒトの性的起源に関しては様々な説があるとしているが、多くの科学者たちが性的起源は環境的、認識的、生物学的要因の相互作用の結果という考えに賛成している。
同協会は同性愛は多くの人々にとって選択できるものではなく、性的起源は幼年期に形成されるとしている。同協会のジャック・ドレッシャー医師もそれらのプログラムには多くの害があり、それらのプログラムは自殺につながる羞恥や罪の意識を作り出すと述べている。
これらのプログラムが果たして助けになるのか、傷つけているだけなのかは今のところ不明だ。が、ブログを見た人たちはザックがサイバースペースに戻ってきてキャンプでの彼の経験について語るのを待っている。 |