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差別犯罪撤廃法案 アメリカ連邦議会を通過
2005/09/30 10:23
アメリカ合衆国下院は14日、地域法執行強化法(Local Law Enforcement Enhancement Act)を可決した。
差別犯罪撤廃法(連邦法)で保護される対象に、性的指向やジェンダー・アイデンティティー(※1)に基づく犯罪被害者を加えた同法案は、長い間、議会での可決を待ってきた。議会は法案を賛成223対、反対199で可決。192人の民主党議員、30人の共和党議員、1人の無所属議員が賛成票、共和党員の大多数である194人、5人の民主党議員が反対票を投じた。合衆国下院が今回のような法案を通過させるのは、初めてのこと。
地域法執行強化法は、性的指向、性別、ジェンダー・アイデンティティーや障害に基づいて個人に危害を加える差別犯罪への対策を強化するために、差別犯罪撤廃法(連邦法)を社会の実情に合わせて作られたもの。
法案は、ミシガン選出のジョン・コニアーズ民主党下院議員が議会に提出、子どもの安全に関わる法(Children's Safety Act 2005)の修正という形で、同議員が法案通過に努めた。同法案は上院を通過したことはあったが、いつも下院で否決されてきた。
「この法律によって、アメリカにおける特定の集団を弾圧するような犯罪に効果的に取り組むため、連邦法執行を強化することができるだろう」と話すのは同性愛者政治団体ストーンウォール(Stonewall)の代表を務める民主党員エリック・スターン氏だ。「現行の連邦法は、地方権力機関に対して、性的指向やジェンダー・アイデンティティーに基づいて個人に危害を加えた者を起訴する手段を与えていなかった。世界的にテロリズムの恐怖にある中で、我々は、国内外での威嚇や脅威と争う準備を十分にしておかなければならない」とも同氏は語る。
同性愛者政治団体ログ・キャビン・リパブリカンズの政治顧問クリス・バロン氏は、「今日、223人の勇気ある議員によって、下院は合衆国のLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー) をわれわれの国の大切なメンバーだと思っているという強力なメッセージを発信することができた」と話し、「我々は、今日(賛成票を投じた)共和党下院議員が示した政治的勇気が、意見の分かれている政策を推進しようとする党員へのサインになることを望んでいる。歴史と良識はいつも我々の味方であったし、今日はそのことが証明された」と加えた。
※1・・・ 「男である」「女である」という自覚。性別の自己認識。 |