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同性愛者関連団体 ロバーツ氏の連邦最高裁長官の任命に落胆
2005/10/05 16:36
ジョン・ロバーツ氏が上院の過半数の賛成を受けて、合衆国連邦最高裁長官に就任した。
連邦最高裁は、議論の難しい社会問題などに判決を下し、その判決は何世代にもわたって市民の権利・生活に影響力を及ぼす。
上院は賛成78、反対22でロバーツ氏の最高裁長官への就任を可決、同氏は故ウィリアム・ H ・レンキスト判事に代わり連邦最高裁の椅子に座ることになる。
「ジョン・ロバーツ氏の任命を受け、連邦最高裁は新しい時代、‘ロバーツ時代'に向けて動き出した」と述べるのは、保守派であるロバーツ判事の就任に55人全員が賛成票を投じた共和党のリーダー、ビル・フリスト上院議員。「これから長い将来にわたり、我々が共和党員として議会を去っても、ロバーツ氏は連邦最高裁で、困難でしかし根本的な合衆国の法について判断を下し続けるだろう」ともフリスト議員は述べた。
民主党上院議員の半分は、ロバーツ氏が、連邦最高裁右派のアントニン・スカリア判事やクラレンス・トーマス判事と同様に保守的であることが判明したとして反対票を投じた。「ジョン・ロバーツ氏についての私の印象が誤りであることを祈っている」と話すのは長い間リベラルとして知られているエドワード・ケネディー上院議員。「私は、判事の任命に関して自分の考えが誤りであることを思い知ったことがある。過去にスカリア判事の就任に賛成票を投じたことを後悔している。もちろん、彼(スカリア判事)はジョン・ロバーツ氏と同様にやさしくて頭のよいハーバード大学出身の弁護士ではあるけれど」(ケネディー上院議員)
市民権擁護団体ラムダ・リーガルのディレクターであるケビン・キャスカート氏は「我々は、終身職である連邦最高裁判事になる人物は、全てのアメリカ市民のために公正さと平等を重んじる人であることが一番大切で必要だと信じている。ジョン・ロバーツ氏が、自身が公正さと平等を重んじる人物であるかどうかを明らかにすることを必要とされずに連邦最高裁長官に任命されたことに、我々は失望している。ロバーツ氏は上院公聴会で、自身について明らかにするあらゆる機会を与えられていたのに。将来に目をむけ、我々はレズビアン、ゲイ、トランスジェンダーやHIV感染者が、これからロバーツ氏が率いる連邦最高裁を前にした時、公正な審議を受けられることを切実に望んでいる」と話す。
ロバーツ氏は、連邦最高裁を今後20-30年にもわたって率いる可能性がある。1801年に45歳で任命されたジョン・マーシャル判事をのぞけば、ロバーツ氏よりも若くして連邦最高裁長官に任命されたケースはない。
ロバーツ氏は2つの歴史上の記録を持つことになる。同氏は、7週間という期間中に、連邦最高裁の異なる2種類の判事への指名を受けた。ブッシュ大統領は当初、7月にロバーツ氏を退官する予定のサンドラ・デイ・オコーナー判事の後任として指名。しかし9月3日にレンキスト判事が亡くなり、6日に大統領はロバーツ氏に対して連邦最高裁長官への指名をすることを発表。ロバーツ氏は連邦最高裁長官として任命され、もう一人の新判事が決定するまではオコーナー判事が最高裁に残ることになる。
「極右派によって長官が任命された後では、裁判所のバランスを保つことのできる判事が任命されることが重要だ」と話すのは、ヒューマン・ライツ・キャンペーン代表ジョー・ソルモネーズ氏だ。「オコーナー判事は穏健派として知られ、最近では LGBT を擁護する票を投じてきた。オコーナー氏の後任は同じく公正さについて穏健派の人物でなければならない。我々は、ブッシュ大統領に対して、後任に裁判所のバランスを保てる人物をおくように主張する共和党員、民主党員に賛同する」(ソルモネーズ氏)
ロバーツ氏はインディアナ州ロング・ビーチで、夏休みには父がエンジニアを勤める炭鉱を手伝いながら育った。ハーバード大学を優等で卒業した後は、ロースクールに籍を置きながら連邦最高裁のレンキスト判事の下でアシスタントを務め、ワシントンで著名な弁護士・判事になった。 |