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最高裁判事に指名されたマイヤーズ氏の過去から浮かび上がるもの
2005/10/20 23:55
(アメリカ)保守派のジョン・ロバーツ最高裁判事任命から約1ヵ月、早くも次の最高裁判事の任命を迎えようとしている。
弁護士のマイヤーズ氏は、リベラル派のサンドラ・オカナー最高判事の後任としてブッシュ大統領から指名され、今週にも公聴会を予定している。公聴会の後に行われる議会投票の結果によって、マイヤーズ氏が正式に判事として任命される予定である。
アメリカ最高裁判所は、7人の判事の採決に委ねられている。現在の構成は、保守派3名、リベラル派4名となり、今回リベラル派であったサンドラ・デイ・オカナー最高判事が退任したことで、後任の選出が大きく注目されている。ブッシュ大統領に指名されたマイヤーズ氏が、仮に保守派だとするとアメリカ社会に大きな影響を与えるためだ。しかし、マイヤーズ氏には、判事としての経験もなく、保守派かリベラル派かアメリカ社会でも判断がつかない状況となっている。
以下は、アメリカ最大のLGBT団体HRCが公表した資料をゲイジャパンニュースで翻訳をしたものである。
(ゲイジャパンニューススタッフは、HRC代表補佐と同じ大学の出身であり、定期的にHRCと連絡を取っております。)
「これは15年前にハリエット・マイヤーズ氏が考えていたアイディアの一欠片に過ぎない。しかし我々と対立する者たちよりも更に公平な考え方の持ち主である可能性もある。」 HRC 代表:ジョー・ソロモニース
(ワシントン)Human Rights Campaignの代表者であるジョー・ソロモニース氏は、1989年にハリエット・マイヤーズ氏に行ったゲイ・レズビアン人権問題の調査結果についてこう語った。
「これは15年前にハリエット・マイヤーズ氏が考えていたアイディアの一欠片に過ぎない。しかし我々と対立する者たちよりも更に公平な考え方の持ち主である可能性もある。私たちはこの記事に対してホワイトハウスがどのような反応を示すかじっくり観察する。また、極右派が最高判事を指名する過程に水をさすかどうか知るための絶好のテストだ。」
「彼女はアメリカの同性愛者の権利確立に賛成し、同性間で合意の性行為を犯罪とみなす法律を廃止することについては反対と書いている。この矛盾を上院は徹底的に調査すべきである。また、1989年には彼女はAIDS基金を支援し、地域社会全体でのエイズ問題を認識していた。彼女の同性愛者に対するスタンスからいって、そこには回答よりも疑問点のほうが多い。しかしながら私たちが知っているのは極右派がほんの一掴みの可能性でマイヤーズ氏を公平だと捉えつつも、実際あまり嬉しく思っていないことだ。」
■1989年、マイヤーズ氏が回答した質問状
同性愛者にも、ゲイではない男性や女性と同等の市民権を持つべきだと貴方は思いますか ?
− はい。
貴方は市民の一人として、合意の上で行った同性愛者間の性行為を犯罪とする法律、テキサス刑法21条06号を廃止することに賛成しますか?
− いいえ。
テキサス・ペナル・コードセクション 21.06 をダラス州法に包括することに賛成ですか ?
− いいえ。
エイズ教育や患者サービスをためにダラス市は資金援助する責任があると考えますか?
− はい。
現在の資金援助よりも更に多額の資金を投入することに賛成ですか?(現在は年間 $550,000 )
− はい。その必要があると思います。エイズの問題はコミュニティ全体の深刻な問題であると認識しています。
HIV/AIDS 感染者であるか、ないかで、居住する場所を区別するような差別を禁止するダラス市の条例に貴方は賛成しますか?
− 6、7のような質問によって浮上した問題に対する行政のあり方は賛成します。これらの条例が持つ重要性や事実関係を全て把握しているわけではありませんが、ご説明して頂ければ適切な決定がなされるように条例の必要性などを議論したいと思っています。
雇用面において、人種、宗教、年齢、性別、国籍、 HIV/AIDS ステータス、障害によって差別することを禁止している市の方針に、貴方は賛成ですか?
− 6での回答を参照。
資格や条件を満たしているゲイやレズビアンの中でも、性的指向が原因で雇用を断られること(ダラス警察や消防署を含む)に対して貴方は賛成しますか?
− 雇用者は全て重要な要因を考慮した上で最良の人材を選択するべきであると思います。 |