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バチカン 禁欲生活を送るならゲイも聖職者に
2005/10/26 23:58
(教皇庁)イタリアの新聞「Corriere della Sera」が7日伝えたところによると、教皇庁は少なくとも3年間禁欲生活にあることを証明できれば、男性同性愛者でも司祭職への就任を認める見通しだ。
しかし教皇庁は、同性愛者であることを公言している男性や、知的生活に関してのみだとしても同性愛文化に対し‘圧倒的魅力'を示している男性の司祭職就任は認めない構えだ。
今回イタリアの新聞が報じた教皇庁の同性愛に関する姿勢は、11月にも発表されると見られている教皇庁の16ページにわたる秘密文書に記載されている。
同文書は、「カトリック教育に関する教皇庁常任委員会」による‘指導書'とされ、ローマ・カトリック教会内で最も扱いの難しいテーマの一つに触れている。
カトリック教育に関する教皇庁常任委員会委員、教皇庁広報部のコメントは得られていない。
Corriere紙は「同性愛指向を示している司祭希望者は、少なくとも3年間禁欲生活を送っていることを証明できなければ、司祭職就任は許可されないだろう」と報じている。
アメリカでは先月、メディアが、禁欲生活にある人でも、同性愛者の司祭職への就任は禁止されるだろうと伝えた。
この種の報道は、同性愛者の司祭職就任完全禁止が、多くの善良な司祭を教会から追放することにつながるとの懸念を引き起こした。
教会は、同性愛は宗教的罪ではないものの、同性愛行為は罪と見なされると説き、異性愛、同性愛に関わらず、全ての聖職者が禁欲生活を送ることを前提としている。
Corriere紙と週刊パノラマ誌は7日、ヴェネディクト教皇が今年夏に文書の内容を承認したと伝えている。
パノラマ誌によると、来月にも発表されると見られている同文書には‘教会内部で知られる心理学者'による説明が書かれている。
「広がる議論」
教皇庁発表の文書が、禁欲生活を送っている人でも同性愛者であれば司祭職への就任を認めないとの見解を示すだろうという先月の報道を受け、ダブリンのディアーマイド・マーティン大司教は英国キリスト教新聞ザ・タブレットに対し、10月第2週次のように語っている。
「司祭職希望者が、単に同性愛者であるという理由で、司祭として無価値だとは見なせない。神学校は今まで、学生に対してセクシュアリティーに関する十分なサポートを行ってこなかった。私たちは同性愛者司祭へのサポートを提供する必要があるし、司祭たちはサポートを通じて自己発見と自分価値の再確認を行うことができるだろう。」
マーティン大司教は自身の著書「司祭職の変わり行くあり方(The Changing Face of the Priesthood)」の中で、ドナルド・コゼンス司教が、アメリカの司祭職就任者のおよそ40%が同性愛者で、そのうち同性愛行為を行っている者はほんの一握りに過ぎないとの予想を出していることに触れている。
Corriere紙の報道は同紙宗教問題特派員ルイジ・アカットリ氏によるもので、アッカトリ氏は今回の報道内容は‘秘密文書に関する口頭での情報漏えい'に基づくものだとし、(教皇庁文書が言う)禁欲生活期間は神学校在学期間にあたる3年であると話した。
先月報道された、同性愛者の司祭職就任完全禁止に大いに喜んだ保守派カトリック教徒もいた。
アメリカの軍教会区代表エドウィン・ F ・オブライエン大司教は、「10年以上禁欲生活を守っている者でも、同性愛者であるならば神学校への入学を許可されるべきではない」と発言し、波紋を呼んだ。
特に合衆国では、オブライエン大司教と同様に同性愛批判の立場をとる人が多い。
教皇庁は、同性愛と同性愛者の聖職者就任に関して長年にわたり議論を続けている。来月発表予定の文書は1961年に「‘異常性愛'の同性愛者は司祭職就任を許可されるべきではない」と定めた文書の改訂版となる見通し。 |