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南アフリカ共和国ケープ・タウン 病院が同性愛者カップルへの人工授精拒否
2005/10/27 13:15
カトリック教会が、同性愛者カップルに対して体外受精児をもうけることを認めないために、16年間連れ添い、自分たちの子どもを持つことを希望してきたゲイカップルの夢が打ち砕かれた。
ディーン・バイラム(37)とパートナーのジョン・ロウン(39)は、南アフリカのケープ・タウンにあるヴィンセント・パロッティ病院の人工授精施設を通して、自分たちの子どもをもつことになっていたが、医師が「手続きが、病院のポリシーに抵触していることが判明した」として計画中止となった。
「卵子提供者、代理母も見つかっている。精子のチェック、必要とされた心理テスト、宣誓を行った」とバイラム氏は話す。
「しかし、担当医から、病院はカトリック教会によって運営されており、教皇庁が未婚カップル・同性愛者カップルへの体外受精を認めていないために、我々は親になることにできないと病院の理事会が決定した、と伝えられた」(バイラム氏)
6日木曜日、ヴィンセント・パロッティ病院の運営者ヴェロニカ・デ・ブリュイン氏が、同病院ではカップルに対してプロセスをこれ以上踏めないことを確認。
ブリュイン氏は、病院運営者である団体ライフ・ヘルスケアが、病院をパロッティ宣教師会から買ったとき、病院の名前を変えない代わりに経営を‘カトリックの原則に基づいて'運営することに同意したと話した。
西ケープ大学の憲法学者ピエール・デ・ヴォー氏によると、病院は、カップルに憲法上認められている平等権を侵害している恐れがある。
デ・ヴォー氏は今回のケースを、信教の自由の権利と平等権が衝突するまれな事例だと話し、病院は宗教施設として運営されているよりも、公の医療機関としての性格が強いことを指摘する。
「裁判所は、カトリック教会によって運営されている病院でも同性愛者を差別できないと判断するだろう。例えば、黒人を差別することが認められないように。今回のケースで、病院が自己のポリシーを正当化するのは相当難しいに違いない」(デ・ヴォー氏)
バイラム氏とロウン氏は、ナイズナ市からパロッティ人工授精施設のイグノ・シーバート医師を9月初めに訪れ、心理テストを終えた後には、「人工授精プロセスが順調に進んで嬉しい」と話していた。
「シーバート医師はとてもすばらしい人だが、病院のポリシーであるとして、人工授精のプロセスはこれ以上進められないと告げられた」とバイラム氏。
カップルは、病院の決定が憲法に違反するものだとして争う構え。
「単身同性愛者でも、同性愛者カップルでも、子どもを養子に迎えることはできる。問題は、もちろん、親になることを希望する人が、親になるに適した人物かどうかだ。南アフリカでは、たくさんの同性愛者カップルが養子を迎え、子どもをもっている」(バイラム氏)
6日木曜日の時点で、シーバート医師のコメントは得られていない。バイラム氏は、シーバート医師に対して 怒りはなく、同医師の立場を理解していると話した。 |