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ブルームバーグ市長再選 結婚証明書発行については未だ否定的
2005/11/14 15:36
(ニューヨーク市)11月8日ニューヨークの市長選で再選を果たしたマイケル・ブルームバーグ氏は、自身を「同性結婚とLGBTの諸権利に賛成の穏健派共和党員」と主張。しかし、合衆国最大の同性愛者権利団体からの支持を逃していた。
先月14日、合衆国最大の同性愛者権利団体エンパイア・ステート・プライド・アジェンダ(以下プライド・アジェンダ)は、対抗馬の民主党員フェルナンド・フェレール氏を支持すると発表していた。
プライド・アジェンダは、LGBT関連問題への各候補の取り組みを評価し、支持を決めていた。「私たちは、各候補のアンケートへの回答、議会での投票記録、公の場での行動や声明を判断して結論を導き出す」と述べるのは、プライド・アジェンダ代表アラン・ヴァン・カペレ氏だ。
「私たちの仕事は、どの候補がLGBTコミュニティーへの最も強い支持を行っているか、これから行ってくれるかをコミュニティーのメンバーに知らせることに尽きます。各候補の他の政策面について判断してどの候補に投票するかを決めるのは、コミュニティーメンバーそれぞれの選択です」(ヴァン・カペレ氏)
前回の市長選挙以来、ニューヨーク市はLGBTコミュニティーにとって重要な一連の問題に取り組んできた。
最も重要なものの例には以下のようなものがある。
@市に対し、異性愛者に認められているのと同等の権利をLGBT職員にも付与することを要求する法案
A同性愛者カップルが結婚許可を得るのを事実上妨げているニューヨーク州法は違憲だとし、市に対し、結婚証明書の発行を開始するよう指導を与えた判決
B市に対し、学校での差別に基づくいじめや嫌がらせに取り組むための具体的対策を講じるよう要求する法案
Cトランスジェンダーへの差別を禁止する法案。
ブルムバーグ市長は、以上4件に制限を加えることなくLGBTコミュニティーをサポートし、2002年には「トランスジェンダー権利法」に署名をした。
個人的には同性結婚に賛成であるとしながらも、市長は同性愛者カップルへの結婚証明書発行は行わず、市に結婚証明書を発行するように指導する内容の判決に対し上訴し、現在は「平等社会保障給付法」の施行阻止を求めて裁判中。また、市長は市議会の決定により市長の拒否権発動が覆されたにも関わらず、学校でのいじめに対策を講じるための「すべての学校における尊厳に関する法」に未だ署名を行っていない。
一方、フェレール氏は、「市長に選ばれた際には、"平等社会保障給付法"、"すべての学校における尊厳に関する法"のすみやかな施行をし、同市における同性結婚を実現するため、今まで下されている判決内容を争うことは止める」と公の場やプライド・アジェンダへの書面で語っていた。
「過去、現在におけるフェレール氏の我々コミュニティーへのサポートは、文書に顕著に見られ、その始まりは20年前にも さかのぼる。市議会議員だった1986年、彼は画期的な同性愛者権利法案−議会で可決され、署名を得て法律になった−に、市委員会でも議会でも、彼の選挙区では全く支持されなかった法案なのに、賛成票を投じている。」とヴァン・カペレ氏は話す。
プライド・アジェンダが支持する4つの重要な事柄のうち3つにおいて、完全にLGBTコミュニティーをサポートしているとは言えないブルームバーグ市長ではあるが、同団体は、他の面では市長と共に活動することができていると話している。
ブルームバーグ市長は@保険業大手4社に対し、ニューヨーク市で初めて、小規模ビジネス市場へ向けてドメスティック・パートナー健康保険の提供開始をするよう説得、A結婚による地位が要件となる年金−例えば、結婚している市職員は市から5つの年金を受給することができる−について、ニューヨーク州外で獲得した結婚の地位を同市でも尊重、Bニューヨーク市立大学に対し、配偶者年金の面で、既婚のLGBT職員をドメスティック・パートナーではなく、結婚している異性愛者カップルと同等に扱うよう説得するなどしていた。
「(上記@〜Bは)支持できるものであり、これを理由にブルームバーグ市長の推薦を発表できると当時は思っていたが、"平等社会保障給付法"、"すべての学校における尊厳に関する法"や同性結婚に関する判決の取り扱いなど、市長として、LGBTコミュニティーに対してさらに重要なことにもっと力を注ぐことができたはず」とヴァン・カペレ氏は語っていた。 |