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LGBT団体 保守派アリート氏の大統領指名に反対を表明
2005/11/20 13:08
(ワシントン) ブッシュ大統領が先月31日、穏健派サンドラ・デイ・オコーナー判事に替わる判事として、保守派のサミュエル・アリート氏を指名した。大統領の発表を受け同日、 LGBT権利団体は、アリート氏への指名に反対の意向を表明した。
LGBTとHIV感染者のための権利団体ラムダ・リーガルは、アリート氏への指名に懸念を示している。
現在55歳になるアリート氏は、強い保守派として知られ、フィラデルフィアを拠点とする合衆国第三裁判区で判事を15年間務める。司法哲学が、連邦最高裁のアントニン・スカリア判事を連想させることから、司法関係者の中にはアリート氏を‘スカリト'や‘スカリアリライト'と呼ぶ人もいる。
2001年の「ザクス 対 合衆国」判決の中でアリート判事は、「生徒に対する、性的指向などを理由にした嫌がらせを禁止した校区の政策は、違憲である」と述べている。
校区の政策は、生徒の学習環境、いじめなどの行われる環境に介入することを目的として、嫌がらせに関してのみ焦点が当てられていた。
「違憲である」と述べた理由についてアリート判事は、「政策により、‘単なるからかいや、名前の呼び方'までが規制されてしまうためである」とした。
「アリート判事が最高裁判事に就任することが承認されれば、判事はLGBTやHIV感染者の基本的権利のような、全てのアメリカ国民にとって重要な多くの問題に判断を下すことになる」と話すのは、ラムダ・リーガル司法部門部長のジョン・デイヴィッドソン氏だ。
大統領がアリート氏への指名を決めた背景には、共和党内でも極右派に属する議員からの圧力−ハリアット・マイヤーズ氏を、結果的に指名辞退に追い込んだ−があるものと見られている。
デイヴッドソン氏は「ハリアット・マイヤーズ氏の指名辞退の要因に一つは、右派による「マイヤーズ氏は、我々が望んでいるような堅固な保守派ではない」という考え方があった」と話す。
「右派とは異なり、私たちは、裁判所へ行く度に勝訴するというような保証を求めているわけではない。私たちが求める原則は、裁判を受ける者、市民権を求める原告には公正な司法が準備されていなければならないということだ。これは憲法が要求していることであり、全ての判事はこれ実現するために努力する責任を負っている」(デイヴィッドソン氏)
デイヴィッドソン氏は「LGBT団体としては、実際に裁判所に訴えが起こされるような事例について、アリート氏の発言や過去の文書を注意深く調べたい。私たちは、既にアリート氏への指名について懸念を抱いている。判事が、全てのアメリカ国民の権利を尊重するかどうかを判断する際に重要となる問題が、いくつか見つかっている」と話す。
ナショナル・ストーンウォール・デモクラッツ(NSD)も、アリート氏の大統領指名に懸念を示している。
「ブッシュ大統領は、共和党とホワイトハウスをコントロールしようとする保守派政治家の支持を得るために、保守派判事を指名した」と語るのは、NSDのエリック・スターン代表だ。
スターン氏は「全て最高裁判事指名を受けた者は、司法記録に関する公正で徹底した調査を受けるに値する。今回のアリート氏への判断を急ぐべきではない一方で、同性愛反対派による彼ら好みの判事支持は、公正な精神を持つアメリカ人を不快にさせるだろう」とも話した。
ラムダ・リーガル・ホームページ(英語) http://www.lambdalegal.org/cgi-bin/iowa/index.html |