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'HIV 完治' 報道への波紋広がる
2005/11/26 03:31
(英国)HIV/AIDS 専門家らは、エイズから完治したという同性愛者男性アンドリュー・スティンプソン氏の事例への調査を続けている。
アンドリュー・スティンプソン氏(25)は2002年8月、HIV検査で陽性と診断されたが、2003年10月の再検査で陰性とされた。(>>関連記事)
スティンプソン氏は新聞社二社とのインタヴューに応じ、国民健康保健サービス(NHS)の訴訟局からの「2002年のHIV抗体検査で陽性との検査結果が出た後、2003年と2004年の検査では陰性と診断された」とする文書を公開した。
スティンプソン氏はメール紙に対し「自分がどうやってAIDSを治してしまったのか、考えられずにはいられない」と語った。
NHS訴訟局の文書は、検査は全てスティンプソン氏の血液サンプルに基づいて行われたものであることを保証し、一連の結果は‘例外的で、医学的に珍しいこと'だという。
より信頼性ある包括的説明のため、NHSはスティンプソン氏にさらなる検査を要請したが、同氏は現在のところこれを断っている。
スティンプソン氏は、HIV陽性ではないと分かった時、チェルシー・ウェストミンスター NHS トラスト(注 1 )が同氏の血液サンプルを他のサンプルと取り違えたものと考え、NHSトラストに対し賠償を求めようとした。
スティンプソン氏は「さらなる検査には、喜んで協力したい」とメール紙に話した。
スティンプソン氏はスコットランド出身で、現在HIV陽性のパートナーと共にロンドンで生活している。同氏はニューズ・オブ・ザ・ワールド紙に対し、ビタミンのサプリメントを摂取し続けたことがHIV完治につながったかも知れないと言う。
医師らは、今回の事例について、曖昧な点を明確にするため、スティンプソン氏がさらなる検査を受けることが重要、と話す。英国国立AIDS財団代表デボラ・ジャック氏は「これは、かなりまれな事例。さらに検査することなしにHIV完治についての結論を導き出すことは不可能」と話した。
14日月曜日、スティンプソン氏の代理を務める人物が「アンドリューは、どのように今後の検査に臨むかについて‘専門家のアドバイス'を受けているところ」と語っている。
(注1)英国の国民保険サービス(NHS)は、GP(General Practitioner)と呼ばれる一般医と、NHSトラストと呼ばれる大病院との2本立てになっており、病気になった場合はGPにまず受診し、より高度な医療が必要な場合はNHSトラストの大病院に紹介される。(「国際安全衛生センター( JICOSH )」) |