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ネパールの警官がトランセクシュアルに襲撃と暴行
2005/04/22 08:02
(ジュネーヴ)先週13日、カトマンズ警官がトランセクシュアルのグループを襲撃した。
これは、警察権などの職権を濫用した事件であり、2月にギャネンドラ国王が市民への直接権力を持ち、ほとんどの市民の自由を中断させたことによる、ネパール人の脆弱さを浮き彫りにしているとヒューマン・ライト・ウォッチは伝えた。
ネパールの新年に当たる4月13日、カトマンズの祝祭の向かう18人のメティス(女装をした男性の伝統的な名称)を警官が襲撃。その内9名は警棒、銃の柄で殴られた。
「これは、ネパールで起こっているトランスジェンダーに反対する警察一連の襲撃の新たなものに過ぎない。」とヒューマン・ライト・ウォッチのLGBT(ゲイ・レズビアン・バイセクシュアル・トランセクシュアル)人権プログラムのスコット・ロングは述べた。
「政治と市民の権利が妨げられている国では、暴力は“見た目や行動が異なる人は誰でも安全を感じることは出来ない”ことを意味している。」
ダルバール・マルグ警察署からの警官がメティスを襲ったのは、彼らがカンティパト通りに沿って歩いていた午後11時頃だった。
被害者の一人は銃口を向けられ脅された上、腹部を銃の柄で殴られ、繰り返し蹴られたと伝えられている。また他には腕を折られた者もいた。
ダルバール・マルグ署の警部は近くの警察車両からこの殴られる模様を見ていたとも伝えられている。ダルバール・マルグ署は王宮城門の直ぐ外にあり、武装した警官、軍隊で重層に囲まれている地区にある。
性的権利と健康を擁護するNGO団体、Blue Diamond Societyは今回と同様な事件を記録していた。
12月12日の夜、ジャマール地区の警官15名が2名のメティスを襲撃。襲撃者は私服を着用していたが、警官の身分証を示したとも伝えられる。彼らは被害者をTundhikel(カトマンズ市内中央の開けた場所に連れて行き、銃で脅した上、殴打、レイプした。
8月9日カトマンズでは、Blue Diamond Societyのメンバーである39名のメティスが警察に連行された。彼らはハヌマンドカ署に2週間以上留置され、その間十分な食事と面会の権利を受けられなかった。数名は殴打され、レイプされている。
また、昨年からはBlue Diamond Societyの存在そのものが襲撃されている。
7月5日には、警官がBlue Diamond Societyが主催した暴力に反対する集会で数名が殴打された上、解散させている。
1週間後、ネパール最高裁のRam Prasad裁判官は、ネパールの刑法“不自然な性”の禁止に違反することを根拠にBlue Diamond Societyの行動を禁止するという申し立てを受けた。
世界規模での圧力の下、自治省は8月、ネパールには「同性愛者の行動を禁止するための特定の法律はない」ことを根拠に、最高裁は「Blue Diamond Societyの活動の禁止を支持しない」との見解を述べた。しかし、1月18日、3月18日の最高裁で行われた審問では、まだ結論に達せず、次は5月10日を予定している。
「Blue Diamond Societyを閉鎖する試みは、ネパールの市民社会を包括的に弾圧する明白なパターンの早期の警戒だ。」「政府は、市民の自由を取り戻し、全ての人が持つ表現と結社の自由の権利を尊重しなければならない。」とロングは言う。 |