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マイクロソフト社が再び同性愛者の権利を擁護
2005/05/10 01:18
(シアトル、ワシントン)マイクロソフト社は金曜、再びLGBT(セクシュアルマイノリティー)の権利を擁護すると発表した。
同社のスティーブ・バルマーCEOはこの日、「あらゆる方面から考えた結果、職場の多様性を守ることはビジネスにおいても重要なだけでなく、法案にも盛り込まれるべきだという結論に達した。」という電子メールを社員に向けて送った。
マイクロソフト社は先月、同性愛者の権利法案を支持する姿勢を翻した。この法案は、同社の不支持が明らかになるまえに行われた下院議会ではすでに可決されていたが、この後開かれた上院議会では、一票差で否決された。
その後、同社が法案に対する支持を撤回したのは、レドモンドにあるマイクロソフト本社近くの福音派教会と会談した後のことだと判明した。
この教会の聖職者ケン・ハッチャーソンが、法案への支持を取り下げなければ同社の製品に対して全国規模の不買運動を行うと圧力をかけたと言われている。
会談の内容が明らかになるにつれ、ワシントンの同性愛者権利団体からの抗議が相次いだ。
これを受けて、バルマーCEOは、社員に向けての電子メールで、社の決定は会談より前にすでになされており、ビジネスに直接関わる問題に集中するためのものだったと説明した。
しかしこの説明は、同社につとめる同性愛者の社員や、全米の同性愛者を納得させるには不十分であった。また、ビル・ゲイツ会長自らが反対派をなだめようとしたが、これも失敗に終わった。
ゲイツ会長は5月1日、シアトルタイムズ紙に「今回は非常に多くの社員からメールが寄せられました。次にこのような問題にぶつかった時に、私たちが考慮すべき重要な要素は彼らの声でしょう。」と語った。 マサチューセッツ地区のバーニー・フランク議員はマイクロソフト社の顧問弁護士ブラッドフォード・スミス氏に対する手紙の中で、「教会からのプレッシャーによって法案に対する姿勢を変えたのではないということですが、信用できません。私の経験からすれば、あなたのような高い教養を持つ人が受け入れがたいようなことを言う時には何か別の理由がからんでいると思われるのです。」と述べて、同社の姿勢を信用できないと訴えた。
同社に勤める同性愛者の社員も、会社の信頼性に疑問を抱いている。
彼らが組織する社内の同性愛者権利団体は、同性愛者の権利法案に対する社の姿勢を再検討するというゲイツ会長の約束を拒否し、今すぐに決定すべきだと主張している。
彼らはバルマー CEOへの公開状のなかで「今回の決定は、それが与えるインパクトを考慮しておらず、このような決定のなされ方に大きな疑問を抱いています。経営陣に対する信頼も揺らぎました。そして今、私たちはマイクロソフト社から見捨てられ、辱められたように感じてショックを受けています。」と述べた。
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