ニュース
ニュージャージー州 トランスジェンダー反差別法施行
2007/06/30 22:18
(トレントン)ニュージャージー州で17日、雇用主や土地・住居所有者を対象に、トランスジェンダーの人びとを差別することを禁止した法律が施行した。トランスジェンダーの人びとへの差別を禁止した州としては、アメリカでは10番目。
今回施行された法律は昨年12月に議会で可決されていたが、ほとんど世間の注目を浴びていなかった。ニュージャージー州で今年1月に施行したシビル・ユニオン法や、それに伴う「LGBTを歓迎する州」とのイメージに隠れてしまったためだ。(関連記事)
活動家らは、この法律が、生活する上での性と生まれつきの性が異なるトランスジェンダーの人びとに対する理解と、社会全体の受けいれる姿勢の促進につながればと願っている。
ナショナル・センター・フォー・トランスジェンダー・ピープル(拠点ワシントンD.C.)のマラ・キースリングさんは、「(法律ができたのは)声をあげる(トランスジェンダーの)人が増えてきたから」と話し、今後、さらに多くの国が同様の法律を制定するよう期待していると加えた。
法律は、住居・土地所有者に対し、トランスジェンダーであることを理由に賃貸拒否や立ち退きを求めることを違法とする他、雇用主に対し、求職者がトランスセクシュアル、異性装者、アセクシュアルであること、性別がはっきりしない、伝統的な「女らしさ」や「男らしさ」にあてはまらないなどの理由で採用を拒否することも禁止している。信用貸し付け、事業契約、小売店やレストランなどの公共施設における差別も違法。
各職場で労働者に対して、労働者の権利を知らせるポスターには、トランスジェンダーの人びとが差別されない権利も明記される。違反者には、90日の懲役または最高500ドル(約6万円相当、20日現在)の罰金が科せられる。
アメリカで今回のニュージャージー州と同様の法律を最初に制定したのは、ミネソタ州(1993年)。ロードアイランド州、ニューメキシコ州、カリフォルニア州、イリノイ州、メイン州、ハワイ州、ワシントン州、ワシントンD.C.州が続いた。
来年1月までには、アイオワ州、バーモント州、コロラド州、オレゴン州でもトランスジェンダーの人びとへの差別を禁じた法律が施行される。
ニュージャージー州では、2001年、州上訴裁判所が、トランスセクシュアルの医師が差別されたことは違法行為にあたるとの判決を下した(Enriquez v. West Jersey Health Systems)。しかし、関係者によると、雇用主や住居・土地所有者をはじめ、トランスジェンダーの当事者さえも多くがこの判決を知らなかったという。
トランスジェンダー当事者は、法的保護があったとしても、頻繁に差別にあうと話す。
州内のジャージー市に住むコイ・ゴードンさん(43)は、生物学上は男性として生まれた。高校生のときから約30年にわたり女性として生活しているが、「私がトランスジェンダーであることを理由に、雇用を拒否されることがある」と話している。
「彼ら(雇用主)にとっては、私はやっぱり倒錯者なんだと思います」
ゴードンさんは、特にトランスジェンダーの女性では、仕事を得られないために、売春を行うしか選択がない人も多いという。
州立ラマポ大学の「法と社会」助教授で、トランスジェンダーのジリアン・トッド・ウェイスさんは、法律により市民のトランスジェンダーの人びとへの接し方は変わるかも知れないが、「法律で偏見を取り除くのは極めて難しいこと」といい、必ずしも市民の態度や考え方を変えられるわけではないと話している。
ニュージャージ州のLGBT権利活動家らは、同州で今年2月にすでにシビル・ユニオン法が施行されているだけに、残されたトランスジェンダー差別禁止法の成立は、自分たちにとっての最優先課題であると見てきた。
シビル・ユニオン法制定に関与した権利団体「ガーデン・ステート・イクオリティ」のスティーブン・ゴールドスタイン議長は、「この法案のためのロビー活動はこれまでと比べても本当に大変だった」と話した。(翻訳・編集 山下梓) |