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ロシア正教会教父 学校教育では「不幸な同性愛者と老いゆく売春婦を見せるべき」と発言
2007/08/31 20:08
(モスクワ)ロシア正教会の広報担当フセヴォロド・チャプリン教父が8日、学校では宗教的原則と道徳的価値を教えるべきだと発言した。チャプリン教父はまた、「科学のイデオロギー」を押しつけようとするロシアの科学者らを非難。同日、AP通信が伝えた。
チャプリン教父は、教会がロシア社会に与える影響が大きくなっていることに抗議した同国の著名な科学者のグループに反論し、教職員に対し、生徒らに「同性愛や売春といった悪しき例」に従わないよう導くべきと訴えた。
チャプリン教父の発言は、ロシア人科学者のグループが7月下旬にウラジミール・プーチン大統領に宛てて、ロシア正教会の文化に関する新たな授業の導入に抗議する書簡を送ったことをうけてのもの。科学者グループは、ロシア国内の大学に、神学の学位を授与する権限を与えることにも反対。
学校関係者の話によると、ロシア正教の文化に関する授業は今秋開講するが、出席は任意。
チャプリン教父は8日、ジャーナリストらに対し、「科学的見地が国家のイデオロギーであるべきではない。(科学は)決して誰も幸せにできなかったし、人間の存在に関する根本的な問題も解明できていない」と語った。
チャプリン教父は、「私たちは若者に、40代の不幸な同性愛者と、老いゆく売春婦を見せるべき。そうでなければ、30年以内に子どもたちは、物理的欲望と不節制の熱狂に影響され、動物と化すだろう」と話し、若者のための道徳的基準を定める際、教会が重要な役割を果たすべきと強調した。
ロシア正教会は現在、ロシア全土に約2万7,000の教区と、700以上の修道院を持つといわれる。
ロシア憲法は政教分離を定めているが、信仰を持たないロシア市民の中には、同国における宗教について、「遍在しており、圧制的」と話す人もいる。
8日、神学者のアンドレイ・クラエフ氏は、政府に対し、宗教の関連の問題により統制力を発揮し、教会が「教育を十分に受けていない宗教指導者らが広めている迷信とたたかうことを支援」するよう訴えた。
クラエフ氏は、「教会はあまりにも長い間、検閲を受けることなく生きのびてきた。私たち(ロシア正教会)は、自分たちの生活の一部を政府の統制下に置く用意がある」と話している。
政府とロシア正教会の関係は数世紀にわたり、最近では、宗教的少数派や科学者から懸念の声が上がっていた。
プーチン大統領宛の書簡を書いたひとりで薬学者のアンドレイ・ボロビエフ氏は、「学校での教育は、知識に裏付けられた科学的教えに基づいて行われるべき。教会による政府の問題への介入は、ロシアの歴史上、いつもひどい結果を生んできた」と話している。(翻訳・編集 山下梓) |