コラム
【コラム】遺憾の意を込めて<下>
2007/09/22 14:37
※このページは、「【コラム】遺憾の意を込めて<下>」の続きです。
皮肉なことに、イタリアの全国紙や、多くの人権関連ウェブサイトのトップページでとり上げられたペガーさんのニュースを、「残酷な野獣」であるイギリスのメディアは、ほとんど報じなかった。
BBCのニュース・ウェブサイトで検索をかけても、何もヒットしない。
いわゆる左寄りの新聞でさえ、ペガーさんのケースの重要性に気付かなかったようだ。これは、自国へ戻れば残酷で、そして多くの場合命にかかわるような差別を受ける危険性のあるゲイやレズビアンの難民申請者について、どのように扱ったらいいのか、はっきりとした政策がイギリスには存在しないことを明らかにしたのではないだろうか。
この、政策が「存在しないこと」は、何もイギリスに限った話ではないが(移民問題が微妙な話題である多くの国々では、きっと今回のイギリス同様に、ほぼ間違いなく、不名誉な決断が下されるだろう)、すべての国がイギリスのようだというわけでもない。
例えばドイツやオランダは、はっきりと、ゲイやレズビアンをイランに強制送還することを禁じている。
欧州議会議員の中には、ドイツやオランダの政策が、すべての欧州連合(EU)加盟国でも採用されることを願っている人もいる。まあ、これはほぼ不可能に見えるが。
どうしてイギリスが怖じ気づいているのか、理由を見つけるのはそんなに難しいことではない。イギリスのメディアがペガーさんの件について沈黙していたことを理解するのは、はるかに難しいことではあるが。(まったく遺憾なことだ)
部分的にはデイリー・メール紙のおかげだが、同紙に叱責されるのを怖がり、新聞の見出しと市民に迎合することに微塵の良心の呵責もない政治家の集団、つまり政府は、最新の調査によると、移民政策を、変更の必要がある差し迫った問題としてしっかりととらえているようだ。
しかし、そんなことは何の言い訳にもならない。死刑制度を廃止、シビル・パートナーシップ法や性的マイノリティに関する差別禁止法を制定している国が、どうして、セクシュアリティを理由に投石による死刑を命ぜられる国へ、レズビアンを強制送還したりできるのだろう?まったく解せない。
例え、イギリスにとって移民が大きな脅威であったとしても、移民局は、自国で本当に迫害されるだろうゲイやレズビアンに対して難民申請を認めるべきだ。ドイツやオランダ同様の法律を採用できない理由などない。
難民申請者が、自国で深刻な迫害にさらされる危険性があるなら、受け入れ側の大変さに関わらず、すべての寛容な先進国は、道徳的責任として彼らに居住権を認めるべきである。
そして最も重要なことに、すべての政治の根本には、いつでも、救われるべき命がある。今こそ、すべての先進国がそのことに気付くべきときである。イギリス、そして、そう、このことに気付いていないブラウン首相を、恥ずかしく思う。(記事提供Pinknews.co.uk、翻訳 山下梓) |