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アメリカ フィリピン系移民のレズビアンマザー、強制送還の可能性
2009/04/08 15:13
カリフォルニア州北部に住むフィリピン系移民のシェリー・タンさん(写真(右))には23年間連れ添った同性パートナーのジェイリン・メルカドさんと12歳になる双子の息子がいる。タンさんは先月31日にフィリピンに強制送還される予定だったが、議員らの移民局に対する働きかけにより2週間の猶予期間が認められた。しかし、強制送還の可能性が完全に消えたわけではない。2日、The Advocateなどが伝えた。
タンさんは1995年、政治難民として庇護を申請。2002年に申請却下と退去命令が下りていたが、タンさんによると当時の弁護士からその事実を知らされず、昨年6月に移民局の職員が自宅に来るまで申請が審査中だと信じていた。申請が却下になったのは、フィリピンでの命の危険が政府機関によるものではなく、親戚からのものだったため。タンさんは遺産相続をめぐって、親戚から頭に銃弾を受けたことがある。
バーバラ・ボクサー(写真(中央))、ダイアン・ファインスタイン両連邦上院議員とジャクリーン・スパイアー下院議員が移民局に働きかけ、タンさんの申請は再審査されることになった。当面の措置として、2週間の猶予が与えられる。
タンさんは2004年にメルカドさんとサンフランシスコ市で結婚。当時、同市は同性カップルに対して独自に婚姻を認め結婚証明書を発行していたが、後にカリフォルニア州最高裁が市当局の行為は権限を逸脱したものだとしてこれらをすべて無効とする判決を下した。それにより、タンさんとメルカドさんの結婚も効力を失った。(関連記事)
しかし、仮に2人の結婚が今でも有効だったとしても、連邦法の婚姻防衛法(Defense of Marriage Act)により、同性カップルであるという理由で、メルカドさんがタンさんの移住申請に当たって身元保証人なることはできない。
タンさんは、「息子たちとは、産んだときから離れたことがない。あの子たちを置いて(アメリカを)離れなければならないと考えると、身が引き裂かれる思い」と話している。
先月、連邦下院議会に、同性パートナーシップ関係にあるアメリカ国民に対し、外国籍のパートナーのアメリカへの移住申請に当たって身元保証人になることを認めるアメリカの家族を結ぶ法案(Uniting American Families Act、以下UAF)が再提出された。現在、民主党が上下両院で過半数を占めており、LGBTの権利を支持する議員や人権活動家らは、法案の可決・成立を期待している。(関連記事)
スパイアー下院議員は、「近いうちに、移民局のすべての職員が、シェリー・タンさんのような2人の子を持ち懸命に働く母親が、何の支援も得られずにひどい暴力を受けた国へ送還されるべきではないということを分かってくれるになると確信を持っている」と話している。
アメリカには、タンさんと同様の状況に直面するカップルが約3万7,000組いると見られている。(翻訳・編集 ゲイジャパンニューススタッフ) |