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10代レズビアンは同年代異性愛女性より妊娠のリスク高い=カナダBC大学調査
2009/01/25 07:46
カナダ・ブリティッシュコロンビア州で行われた調査で、同州の10代のレズビアンの若者は、同年代の異性愛女性よりも妊娠するリスクが高いことが分かった。レズビアンに対する偏見や差別が結果としてコンドーム不使用でのセックスや初交年齢を早め、複数の性的パートナーを持つことを助長しているのではと調査に関わった研究者らは推測している。調査では、ゲイ・バイセクシュアル男性が、同年代の異性愛男性より、妊娠をさせるリスクが高いことも明らかになった。先月17日、カナディアン・プレス紙が伝えた。
調査は1992年、98年、2003年と断続的に実施され、同州の中学1年生から高校3年生1万5000人〜3万人を対象とした。
調査に関わったひとりブリティッシュコロンビア大学看護学部のエリザベス・セーウィック准教授は「以前に比べれば10代の妊娠は減少傾向にあるが、性的指向により大きな差があり、憂慮しなければならない」と警鐘を鳴らしている。2003年の調査では、10代のレズビアンは、同じ10代の異性愛女性に比べて2.5倍も「1回以上妊娠したことのある割合」が高かった。調査によると、ゲイ・バイセクシュアル男性は同年代の異性愛男性に比べて、妊娠をさせた割合が約4倍高い。
10代の同性愛者では、自己の性的指向を否定したり病気だと思い込み、友だちの輪から外れ、嫌われることを避けて異性とのセックスに至る場合があり、リスクの高い性行動をしている可能性がある。
トロント社会復帰・精神保健センターの児童精神保健部長で臨床心理士のデビッド・ウォルフさんは、10代の同性・両性愛者の妊娠率の高さについて、周囲から烙印を押されたという感情と結び付いているのではと話し、その背景には学校での「異性愛中心主義」的考え方があるのではと加える。
「彼ら、彼女らが自己を肯定できるようになるには、学校や地域が一体となって同性・両性愛者らと共生することや、学校でセクシュアリティを含めたダイバーシティ(多様性)教育をもっと展開しなければならない」(ウォルフさん)
同州では2007年、同年代の異性愛者との比較で、差別やいじめに遭う10代のLGBTの若者の割合が高いことがブリティッシュコロンビア大学の調査で明らかになっている。(関連記事)
日本では、こうした学校を巻き込んでの若者の性行動に関する大規模な調査は、調査実施地の教育委員会やPTAの許可を必要とするのが通例であることや、未成年者が調査対象となる場合には保護者の許可が必要となることなどから困難とされ、LGBTの若者の実態把握は進んでいない。(翻訳・編集 Toma) |