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ホワイトハウスHPにLGBT支持の政策
2009/01/31 15:33
20日のバラク・オバマ第44代アメリカ大統領の就任に伴い、ホワイトハウスのホームページが一新された。LGBTの権利尊重を推進する旨が書かれており、話題を呼んでいる。
LGBTの権利尊重が明記されたのは、ホワイトハウス・ホームページのトップページにある「the AGENDA(政策)」の中の「Civil Rights(公民権)」のページ。「the AGENDA」のページにはオバマ大統領の政策理念が書かれており、人権派弁護士としてキャリアをスタートさせたというオバマ氏らしく、公民権がトップ項目として挙げられている。「Civil Rights」のページを開くと、まず人権問題に関する一般的な政策理念が謳われており、その下に大きく「Support for the LGBT Community(LGBTコミュニティ支援)」と題されたLGBTの人権問題に特化した政策理念が示されている。
以下はその日本語訳。
『LGBTコミュニティの支援』
「1969年のストーンウォール暴動以来、長い道のりを歩んできましたが、私たちにはやるべきことがまだたくさんあります。LGBTの人びとの権利の問題は、私たちを分断しようとする人たちによって、あまりにも頻繁に利用されてきました。しかし、その問題の根幹は、アメリカ人として、私たちが何者であるかということです。この国が、尊厳と敬意を持ってすべての国民を平等に扱うという基本理念を守っていけるかどうかということなのです。」
― 2007年6月1日 バラク・オバマ
● ヘイトクライム(憎悪犯罪)法の拡充
2004年、LGBTの人びとに対する犯罪は、ヘイトクライム全体の15%を占め、3番目に多いと報告されています。オバマ大統領は、人種や肌の色、宗教、国籍、性的指向、性自認、または障害などを理由とした暴力的ヘイトクライムを連邦の司法管轄権とする法案を共同提出。また、州議会議員時代にはヘイトクライムと共謀行為を違法とする厳しい内容の法律を通過させました。
● 労働環境における差別とたたかう
オバマ大統領は、雇用差別禁止法(Employment Non-Discrimination Act)を支持しており、現行の各種差別禁止法に、性的指向や性自認に基づく差別についても盛り込むべきだと考えています。労働者に対する手当てを同性パートナーに拡げている雇用者が増えている一方で、労働環境における性的指向に基づく差別の連邦法による救済は進んでいません。オバマ大統領は州議会議員時代、性的指向を理由とした雇用の場における差別を禁止する法案を提出しました。
● シビル・ユニオン制度と充実した連邦法上の権利をLGBTカップルに
オバマ大統領は、同性カップルに対して婚姻関係にあるカップルと同じ法的権利を認める内容のシビル・ユニオン制度を支持しています。また、婚姻防衛法(Defense of Marriage Act)を廃止し、現在、婚姻により得られる1100を超える権利をシビル・ユニオン制度や他の法的に認められたユニオン制度上の同性カップルにも拡大する必要があると考えています。
● 憲法で同性婚を禁止することに反対
オバマ大統領は、2006年に婚姻は男女間においてのみ成立するとし、婚姻による権利を同性カップルや他の婚姻関係にないカップルに拡大することを認めないとする連邦婚姻修正法案(Federal Marriage Amendment)に反対しました。
● 「聞くな言うな(Don’t Ask, Don’t Tell)」の撤廃
オバマ大統領は、ジョン・シャリカシュヴィリ前軍総合参謀本部議長や軍関係者と「言うな聞くな(Don’t Ask, Don’t Tell)」政策の撤廃の必要性において合意しています。軍務に就くための基準は、愛国心や義務感、国に仕えることに対する強固な意思であるべきで、差別は禁止されるべきです。アメリカ政府は、性的指向を理由に軍を追放された兵士の補充に何百万ドルもの費用を費やしてきました。また、この政策の下で300人以上の言語の専門家が解雇され、その中の50人以上はアラビア語が堪能でした。大統領は、軍におけるこの政策を撤廃し、我々の国防政策の目標を達成するために軍首脳部と共に努力していきます。
● 養子を迎える権利の拡大
オバマ大統領は、性的指向に関わらず、すべてのカップルや個人に養子を迎える権利が認められるべきだと考えています。両親が同性愛者であろうとなかろうと、子どもたちは健康で愛に満ちた家庭から多くの恩恵を受けると考えています。
● エイズ予防の促進
大統領就任初年度に、オバマ大統領は、あらゆる連邦機関を巻き込んだ包括的HIV/エイズ国家戦略を展開します。戦略は、HIV感染の抑制やHIV関連の医療格差を是正することを目的とします。大統領は、避妊に関する知識を含む年齢に適した性教育を行い、刑務所内での感染を教育と避妊によって減らし、公的医療制度を通じて避妊具を配るという常識的アプローチを支持します。大統領はまた、ドラッグ・ユーザー間の感染率を激減させ得る注射針の無償交換の連邦法による禁止解除を支持します。さらにオバマ大統領は、HIV/エイズを取り巻き続けているスティグマ―しばしば同性愛嫌悪と結び付けられている―に立ち向かってきました。
● HIV/エイズ予防のための女性のエンパワメント
アメリカ合衆国では、エイズと診断された女性の数は過去20年間で4倍になっています。今日、女性はHIV/エイズの新規感染件数の4分の1以上を占めています。オバマ大統領は、エイズとのたたかいにおいて女性をエンパワーする製薬の開発を加速させるマイクロビサイド開発法案(Microbicides Development Act)を提出しました。マクロビサイドとは、HIVや他のウイルスの体への侵入を防ぐために女性が局所的に用いる現在開発中の製剤です。(翻訳・編集 Sam)
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