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IDAHO:ホモフォビアとトランスフォビアに反対する国際デー 迫る
2010/05/15 00:16
性的指向や性別自認に基づくあらゆる差別や暴力に反対するホモフォビアとトランスフォビアに反対する国際デー(International Day against Homophobia and Transphobia Day(IDAHO))が17日に迫っている。
IDAHOは2004年、フランス人でゲイの人権擁護家ルイ=ジョージ・タンさんが、1990年5月17日にWHO(世界保健機構)が国際障害疾病分類リスト(ICD-10)から「同性愛」を削除することを決定した日を記念して、この日に世界各地に根強く残るホモフォビア(同性愛嫌悪)について考えアクションを起こそうと提唱したホモフォビアに反対する国際デー(International Day against Homophobia(IDAHO))に始まる。昨年から、ホモフォビアだけでなく、トランスジェンダーの人たちに対する差別や暴力の根絶も訴えようと、ホモフォビアとトランスフォビアに反対する国際デーに改称された。
現在、50カ国以上の数百にのぼる団体がIDAHOにあわせてアクションを行っており、メキシコやカナダのケベック州、ヨーロッパ議会やフランス政府などがIDAHOを公認。今年に入り、ブラジルのサンタカタリナ州も公認を決めている。
パリに本部を置くIDAHO実行委員会は、「最近、性的指向や性別自認は問題ではなくなりつつあり、多数の人と異なる性別自認やセクシュアリティで生きる人たちも快適で安全な社会的・政治的スペースを享受しているように見えるかも知れないが、よく見てみると、多くの場所でホモフォビアやトランスフォビアが大きくなっていることが分かる」と指摘する。
同実行委員会によると、世界の80カ国以上で同性間の合意に基づく関係が違法とされ、7カ国では死刑が適用される可能性がある。
7回目となる今年のIDAHOでは、各国でさまざまなイベントが行われる。中国やイスラエル、ヨーロッパ各国の20カ国46都市では、同性間やパートナー、友人どうしを始めとするさまざまなカップルの街頭でのキスイベントが開催予定。(昨年のエッフェル塔前でのキスイベントの様子はこちら)IDAHO実行委員会は「宗教とホモフォビア・トランスフォビア」をテーマに、宗教原理主義によるホモフォビアやトランスフォビアに基づくLGBTへの迫害に反対する署名を呼びかけており、イギリスやフランスでは、宗教とホモフォビア・トランスフォビアをテーマとしたシンポジウムを開催。(署名サイトはこちら)トルコでは14都市で会議や映画上映会などのイベントが予定されており、アメリカの思想家でフェミニズムやクィア理論を始めとする幅広い分野で活躍、レズビアンであることを公にしているジュディス・バトラー氏が講演する。
日本では、やっぱ愛ダホ!IDAHO-netが中心となり、青森や東京、愛媛を含む11都市で「多様な性にYes!」をテーマとしたメッセージの街頭朗読やメッセージ展、映画上映会やHIV検査会などが開催される他、セクシュアルマイノリティを正しく理解する週間実行委員会は、16日から約1週間にわたって、フリーダイヤルによる電話相談や、野宮亜紀さん(和光大学非常勤講師)、福島みずほ内閣府特命担当大臣(男女共同参画・青少年育成・自殺対策担当)らを迎えたシンポジウムなどを予定している。(編集 山下梓)
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