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シンポジウム「被災とジェンダー/セクシュアリティ」開催=東京
2011/10/06 21:23
9月24日、東京で、シンポジウム「被災とジェンダー/セクシュアリティ〜緊急時、見落とされがちな視点を今後に活かすために」(主催:レインボー・アクション)が開催された。
シンポジウム前半では、異なる立場の4名が、被災地の現状や課題について報告。内田有美さん(NPO法人イコールネット仙台)は、「被災時におけるジェンダー」と題して、避難所での男女別更衣室などプライバシーの問題や、炊き出しは女性が担っていたこと、「男性は仕事優先」との考え方から多くの男性が震災直後に家族のもとへ行くことができなかったなどの例を挙げて、平時の性別役割分業が震災により強化されたことを指摘した。また、宮城県内の避難所で、トランスジェンダーMtF被災者が女子更衣室に鏡をおいてほしいと要望し実現したケースを紹介し、「声を上げていくことが大切」とも話した。
小澤かおるさん(JAPANレインボー・エイド)は、震災後、11回にわたり東北地方のLGBT団体・個人を訪れて行ったヒアリングについて報告。東北地方では、地域の特性から一般的にカミングアウトせずに日常を送っているLGBTが多いことを紹介し、政策に「マイノリティ」の声を反映させていくことは重要だが、カミングアウトしない選択をしている人の意思は尊重されるべきであること、地域の実情にあった支援・取組みが大切であると指摘した。
高橋準さん(福島大学)は、今回の地震・津波・原発事故という複合災害が福島県に与えた被害は地域により異なること、また、家父長制など平時の差別構造が震災により一層顕著になったと報告。その上で、平時から地域の防災計画などにジェンダー平等の視点が盛り込まれるよう、ひとりひとりができる取組みから関わっていくことが大切と加えた。
岩手県内のLGBTネットワーク「岩手レインボー・ネットワーク」を主宰する山下梓・ゲイジャパンニュース共同代表は、3月19日の「ネットワーク」立ち上げのきっかけや、さまざまな取組み―ハイチ大地震で現地LGBTを支援したアメリカのNGOとの情報交換(4月)、ホモフォビアに反対する国際デーのパネル展「LGBTである私たちから被災した岩手の人たちへ」(5月)、もりおか女性センターフェスティバルでのパネル展「災害とLGBT」(10月8・9日予定)などを紹介。また、平時から心がけてきたという地域の女性センターや地元紙記者との連携についても話した。
後半のパネルディスカッションでは、各報告で指摘された「平時の差別・不平等構造が緊急時により顕著になる」ことについて、普段からできることは何かといったことや、地域の女性センターとの積極的な連携の可能性についてなど、意見がかわされた。
今回の企画は、「被災とセクシュアル・マイノリティ」をテーマにした5月のシンポジウムの第2段。レインボー・アクションでは、年明けにも、引き続き同様のテーマでシンポジウムを開催する予定。(編集 ゲイジャパンニューススタッフ) |