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欧州議会 委員会にトランス課題への対応要請
2013/04/30 07:12
EU(欧州連合)の立法機関のひとつ欧州議会は16日、EUの行政執行機関である欧州委員会に対し、物品やサービスの購入・アクセスの際にトランスジェンダーの人々が受ける差別について取り組みを行うよう求めた。今回の要請は、同議会が2010年から進めてきたトランスジェンダーの人々の権利支持の一連の行動では最新のもの。
議会は、物品やサービスの購入・アクセスにおける男女間の平等な取扱いについて定めたEU法である財・サービス供給契約上の男女差別禁止指令(2004/113/EC)に関連して、ジタ・グルマイ議員(ハンガリー)がとりまとめた同指令の「国内法化と適用に関する報告」を採択した。
報告書は、欧州司法裁判所が、トランスジェンダーの人々に対する差別が性に基づく差別であるとくり返し指摘していると記述。議会は、これに加え「委員会に対し、裁判所の判断にそって、男女間の平等に関する法律や政策に性別自認を理由とした差別を盛り込むことを求める」とした。
欧州議会LGBTインターグループの共同代表を務めるマイケル・キャッシュマン議員(イギリス)は「トランスジェンダーの人々は、EUの中でも厳しい状況に直面している。来月公表されるEUの調査報告では、調査に協力したトランスジェンダーの人々のうち3分の1以上が過去5年間に身体的暴力に遭ったことがあることが分かった。これがトランスジェンダーの人々が直面している暴力と差別の現状で、EUは今こそ可能な限り深刻に受け止め取り組まなければならない」と話している。
EUの専門機関のひとつ欧州基本権機関は来月、ヨーロッパでこれまでで最大規模となるLGBTに関する調査報告を公表予定。調査には、EUとクロアチア(2013年7月EUに加盟予定)におけるトランスジェンダーの人々の差別に関するデータも含まれているという。(翻訳・編集 山下梓) |