同性愛者を理由に勤め先から解雇されたら、あなたはどうしますか。もし、これが学校や病院や住宅の拒否、老後の問題であったら・・・。
2007年に厚生労働省エイズ対策研究事業の一部として実施された調査では、日本国内のゲイ・バイセクシュアル男性の約60%が自殺を考え、約15%が自殺未遂の経験があります。自殺者と性的指向の関係は明らかになっていませんが、調査結果に表れない数字として多くの子どもや大人たちが、既に自らの命を絶っている可能性があります。
同性愛者は、家族や友人など周囲の人たちの理解不足から問題を抱え、幼いときから自己嫌悪を招くことがあります。また、成人の多くはカミングアウトをしていないために、勤め先から独身者と思われていることも多く、勤務地や勤務時間など、既婚者と比べても不利な状況に置かれることがあります。
恋人や家族との関係を周囲に隠し、自らのアイデンティティを否定することは、日常の生活で負担を強いられ、精神の混乱をきたすことがあります。
更に、いまの日本では男女の夫婦が享受する権利を同性カップルは行使することができないため、男女の夫婦に比べ高額な税金(相続税、所得税の控除、贈与税)、遺族年金、医療保険、子どもの教育ローン、入院時のパートナーの面会や委任、国際カップルの家族ビザ取得など、生活をする上で様々な困難を抱えています。
結婚はふたりの関係を社会に示すことで、ふたりの生活をより安定的なものにすることができますが、いまの日本では、これらが困難な状況にあります。
異性愛者も同性愛者も子どもも、すべての人たちが将来に希望の持てる社会の実現が望まれます。
同性愛者の社会的地位向上や権利は、同性愛者だけに特別な権利を与えるのではなく、異性愛者と同じ環境で生活を続けるために必要な社会制度です。
同性愛者権利の先進国であるオランダ、カナダでは、法律によって同性愛者に対する差別の禁止や異性間の夫婦と同様の権利が認められています。そして、同性愛者であることを職場にカミングアウトし、同性婚をしている同性カップルが多く存在します。
しかし、このような同性愛者の権利は昔から認められていたかといいますと、それは違います。どの国においても、当事者が団結し、権利を守るため行動を起こした結果です。
イクオリティでは、LGBT支援ネットワーク作り、情報の配信、講演、署名活動、行政・企業・国際機関へ報告書の提出、イベント運営、個人相談など同性愛者や社会的に弱い立場の人たちへの社会的地位向上を目指して活動を始めました。
真の豊かさとは国民一人一人の自己実現ができる社会であり、それぞれの違いや多様な価値観を認め、ありのままの自分で生きていける社会だといえます。
どうかこの問題を同性愛者だけの問題として捉えないでください。女性、高齢者、障害者、子ども、低所得者など、社会的に弱い立場の人たちは、このような社会から同性愛者と同様に迫害を受ける可能性があります。
同性愛者の偏見や差別に立ち向かうことは、社会的に弱い立場の人たちを認め、国民一人一人の自己実現できる社会を追求することに変わりないのです。
皆で団結し、行動に移すことでLGBTの社会的地位向上を前進させることができます。そして、LGBTコミュニティへ参加が、多くの信頼しあえる仲間を作り、いざという時の皆さんの支えになります。
ご賛同いただける方は、同性愛者に限らず、メーリングリストへのご参加をお願い致します。(メーリングリストは、重要な情報や集まりをご案内する際に不定期で発行いたします。通常はホームページでご案内します。)
LGBTの若者は私たちに助けを求めています。ゲイやレズビアンとして生まれてきても「病気ではない。間違っていない。」と思える希望ある社会を目指し、これからは、お金や社会的地位だけに価値を求めるのではなく、皆で助け合う共生の社会を実現することが必要です。
そして、どうか良識ある皆さんの傍観を終焉させてください。
2011.1.28
望月洋&トム・ペイン
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